
風と共にに去りぬ
マーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」を
主人公のひとり語りの形式に再構成したもの。
原作を読んでないから分からないけど
読みだしたら止まらないのは、いつもの林 真理子の小説どおり。
スカーレットがおバカすぎ
スカーレットが頭悪すぎで
本が嫌いとか
難しいことは分からないとかばっかり言っちゃって
ドレスとか男の子の気を引くことにしか興味がないから、イライラするし
主人公に共感できないから、もう読むの止めようかなと思ったりしたけど
あれこれ頭の中で策略を練るところ、
そして、それを実行する行動力がなんかすごくて
どんどん読んでしまいます。
南北戦争
南北戦争って、なんでか知らんけど世界史でもあまりやらなかったから、今まで全然解ってなかったけど
その背景も含めて頭に入ってくるからすごく面白い
結局南部が敗北するって知ってるから読むのが辛いけど
ちょうど米国の大統領選挙のニュースもあって
南部のどこの州が…という話も興味深く聞いてました。南部にはアイルランドなどの外国からの移民が多く、その多くが本国ではあまり恵まれた地位にいなかったこと
アメリカに移住してからも元の国の上流階級の人びとのような生活様式を踏襲したから保守的であるということ
南北戦争の経緯、激戦地、鉄道の寸断や海上封鎖。知らなかったことばっかり
おしゃれのセンスと観察眼がすごい
他の女の子のドレスを観察して
素材とか、色の合わせ方とか
帽子や靴に至るまで、細部まで本当によく見ていて、それをいちいちジャッジしていくのが面白い
スカーレットは、美人でおしゃれで辛口だから、ビシバシぶった斬っていくのが気持ちよかったです
南部の伝統を重んじる生活様式もなんかいいんです
午後3時までは、腕や胸元を露出しないとか
外出するときは、必ずショールをまとい、手袋をするとか
(日焼け止めもない時代、白い肌にそばかすを作らないために)
スカーレット 生き抜く力
どんどん戦争が激しくなって戦況が悪くなるところは
他の戦争小説と同じ
「ワイルド・スワン」、「大地の子」、「パチンコ」
よりはだいぶマシですが、やっぱり何度か死にかけるし
「続・窓際のトットちゃん」、「わが上海 1942年-1946年」、「ペガサスの記憶」、「小さいおうち」よりはずいぶん酷いって感じ
これはお金持ちなのに意外です
有吉 佐和子の「非色」を読んで思った、「元々持っていた者」と、「何も持っていなかった者」という図式がここでは成り立たないです
スカーレットは元々タラっていう大農場の娘で南部の上流階級出身だけど、何もしなければ奪われるだけ奪われて、タラまで奪われそうになってしまうから
何もしなければただ飢えて死んでいくだけ
周りが頼りにならなくて状況はどんどん悪くなっていく
何もできずに自分の置かれた状況とか、環境を嘆くだけの人が多いです
祈ることしかできないとか。これって思考停止してるだけやん
とにかく、スカーレットは行動するし
頭の回転も速いし、体力も、行動力もある
他の皆も根性出して自分でなんとかしろよって思うけど
結局、やってくれる人がいると現実逃避するヤツって今でもいますよね
いっそ、見捨ててくれればいいのに
スカーレットって意外に義理堅くて
かなり辛い状況で終わってしまった上巻
スカーレット、これで終わらないよね?
